期間の計算方法

民法総則期間

期間の計算とは

期間とは、ある時点から他の時点にいたるまでの継続した時間をいう。期間は、当事者の法律行為や法令の規定、裁判所の裁判などによって定められる。

期間を定めた場合には、その開始時点(起算点)から所定の期間が経過したときの終了時点(満了点)を具体的に導き出す必要がある。これを期間の計算という。

民法は、期間の計算についての一般的なルールを定めている(138条)。

2種類の計算方法

期間の計算方法には、自然的計算法と暦法的計算法の2種類がある。

自然的計算法は、期間を時・分・秒単位で精密に計算する方法である。ある事実が発生した即時(その時)から起算して、所定の期間を満たす時点を計算する*。

* たとえば、「4月1日午前10時10分から24時間」というときは、24時間後の翌2日午前10時10分が満了点となる。

自然的計算法は、精確であるが煩わしく不便であるために、一般的な期間の計算には向かない。

民法も、時間を単位として期間を定めた場合(短期間)にかぎり自然的計算法によることとし(139条、分・秒単位も同様)、の単位によって期間を定めた場合(長期間)には暦法的計算法によることとしている(140条~143条)。

長期間の計算方法

暦法的計算法

暦法的れきほうてき計算法は、こよみにしたがって計算する方法である。

この方法は、日を最小の単位とし、1日未満の時間を計算することをしない。つまり、初日の1日に満たない端数時間は、原則として算入しない(後述)。

また、週・月・年を単位とする期間の場合には、日に換算せずに暦上の週・月・年を数えることによって計算する*。

* そのため、月・年単位の期間のときは、月の大小や年の平閏(平年かうるう年か)によって期間に含まれる日数が変化することがある。

起算日

初日不算入の原則

日・週・月・年を単位として期間を定めたときは、原則として、期間の初日を算入せずに翌日から起算する(140条本文)。

つまり、期間計算開始の契機となる事実が発生した当日=初日しょじつを切り捨てて、その翌日を計算上最初の1日=起算日とする。これを初日不算入しょじつふさんにゅうの原則という。

〇〇を知った時から△年間」というときは、〇〇を知った日(初日)ではなく、その翌日が起算日となる。

もっとも、期間が午前零時から始まる場合は、初日が丸1日あるので、例外的に初日から起算する(140条ただし書)。

「来月5日から△か月」というときは、初日である5日が起算日になる。

年齢計算の起算日

初日不算入の原則に対する例外の一つに、年齢の計算がある。年齢は、出生の日から起算する(年齢計算ニ関スル法律1項)。

4月1日に生まれた子は、(翌日の2日ではなく)1日ついたちを起算日として年齢を計算するので、翌年3月31日(誕生日の前日)の終了をもって満1歳となる。

4月1日生まれの子の入学時期はいつか

子どもは、満6歳に達した日の翌日から最初の4月1日が到来するときに小学校1年生となる(学校教育法17条1項、同法施行規則59条)。

4月1日生まれの子は誕生日前日の3月31日(の終了時)に満6歳になるので、満6歳に達した日の翌日が最初に到来する4月1日になる。

したがって、4月1日生まれの子は、満6歳に達した年に始まる学年に入学することになる(いわゆる「早生まれ」の扱い)。

これに対して、4月2日に生まれた子は、4月1日に満6歳になるので、満6歳に達した日の翌日(4月2日)以後における最初の学年の初めである翌年の4月1日に小学校1年生となる(いわゆる「遅生まれ」の扱い)。

満了日

期間は、その末日の終了、すなわち午後12時の経過をもって満了する(141条)。これは、起算点に関して初日不算入の原則を採用したことに対応している。

期間の末日=満了日は、以下のようにして定まる。

日を単位とする期間の場合

を単位とする期間は、起算日から所定の日数を数えて最後の日に満了する。

「3月20日から10日間」というときは、3月20日を起算日(1日目)として数えて、10日目にあたる3月29日が満了日となる。

月・年を単位とする期間の場合

またはを単位とする期間は、暦に従って計算する(143条1項)。つまり、月・年を日に換算せずにそのまま数える。

月・年の初めから起算する場合

月・年の初め(1日・元日)から起算する場合は、その月・年を最初として所定の月数・年数を数えて、最後の月・年の末日に期間が満了する。

「2月1日から3か月間」というときは、年の平閏や月の大小にかかわらず、2月を最初の月として月数を数え、3月目の4月の末日が満了日になる。

月・年の途中から起算する場合

月・年の初日以外の日から起算する場合は、期間の起算日の翌月・翌年を最初として月数・年数を数え、最後の月・年においてその起算日に応当する日=応当日おうとうびの前日が満了日になる(143条2項本文)。

「1月15日から5か月間」というときは、翌月から数えて5月目の6月15日が応当日であるので、その前日の同月14日が満了日になる。
「2022年10月5日から3年間」というときは、翌年から数えて3年目の2025年10月5日が応当日であるので、その前日の同年同月4日が満了日になる。

最後の月に応当日がない場合

月には大小があり、また、年には平閏があるために、最後の月に応当日がないこともある。そのような場合は、その最後の月の末日に期間が満了する(143条2項ただし書)。

「1月31日から1か月間」というときは、翌月の2月には応当日(31日)がないので、平年であれば同月28日(閏年であれば29日)が満了日となる。

週を単位とする期間の場合

を単位とする期間についても、暦に従って計算する(143条1項)。

もっとも、週を単位とするときは日に換算しても計算結果が同じであり、また、応当日が存在しないことによる問題は生じない。

期間の末日が休日に該当する場合

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たる場合、期間はその翌日に満了する(142条)。

「2022年5月1日から3か月間」というときは、本来の満了日である7月31日は日曜日に当たるので、その翌日の8月1日(月曜日)が満了日となる。

コメント

  1. それで正しいと思います。

  2. コメント失礼します。

    『月・年の初めから起算する場合 例「2月1日から3か月間」というときは、年の平閏や月の大小にかかわらず、2月を最初の月として月数を数え、3月目の4月の末日が満了日になる」』
    ということは、
    ●1月1日から1か月間は、1月31日
    ●2023年1月1日から1年間は、2023年12月31日24時
    であってますでしょうか?

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