時効の中断・停止(じこうのちゅうだん・ていし)
時効の中断・停止は、2017年民法改正前に存在した時効に関する制度である。同年の改正により、時効の完成猶予・更新に取って代わられた。
(1) 時効の中断とは、一定の事由が発生した場合に時効の進行を中断させる制度である。中断によってそれまで経過していた時効期間は意味を失い、中断事由が終了した時点から新たに時効の進行が開始する。中断事由には、請求、差押・仮差押・仮処分、承認の3種類が存在していた。
中断の概念は、時効の更新の効果だけでなく、時効の完成猶予の効果をも含むものであった。現行法上の制度は、この中断の概念を時効の更新と完成猶予とに再構成したものである。
(2) 時効の停止とは、一定の事由が存在する場合に時効の完成を所定の時期まで猶予する制度である。現在の時効の完成猶予に当たる。
「停止」という表現から、時効の進行が停止事由の発生によりストップしてその消滅後に残りの期間について進行が再開するという誤解が生じやすい。そのため、改正によって「完成猶予」という表現に改められた。
コメント